朝礼の間もチラチラと見られたり囁き声が聞こえなかった訳では無かったけれど、不思議と気にならなかった。
それも朝礼が終わり課長に絡まれるまでのことだった。
「山口さん随分とバッサリ切って大変身したね。
もしかして大失恋でもした?
アハハーーー恋人がいる訳もないか?
すまん、すまん。これは失言だったね」
一体どの失言に対する詫びなのか呆れる。
『ふん。私だって変わったのよ……
いつまでもサンドバッグのような扱いは許さない。
ちゃんと思い知らせてやる』
ジーと課長のにやける顔を見据えて
「人事課に行ってきます」と言い放つ。
「人事課に何の用があるのかね」
ただ確認する為だけに聞いてくる課長に無表情のまま答える。
「先程の課長の発言がセクハラに当たるかどうか人事課内の【セクハラ相談室】で確認してきます」
「はっ?」
私の言葉に余程驚いたのだろう。
目を瞬かせて驚き息を飲む課長に心の中で『ざまーみろ。あかんべー』と舌を出していた。