自販機の下で初めて会った日に駆け込んだ動物病院にはそれ以来ずっとお世話になっている。
今から8ヶ月前……
風邪を引いたモンティーを診てもらうために動物病院を訪ねた時に先生からマーキングについての話があった。
成長してくると自分の縄張りである事を示す為に強烈な臭いを放つおしっこを部屋のあちこちにするようになると言われ、その予防策として去勢手術を勧められたのだ。
手術をするタイミングも重要で、もしマーキングの癖が付いた後に手術をしてもおしっこをする癖だけが残り困った事態になると教えてくれた上で『もうその時期に来ていますね』と……
『実家で飼って貰おうかな』そう考えた事も確かにあった……
でも私がモンティーと離れるのが嫌で手術を受けさせた。
健康管理に気を付けていれば20年以上も長生きする猫もいると聞く。
だから私もモンティーを20年以上長生きさせると、
一生共に生きると決意しての事だったけど……
飼い主の都合で去勢手術を受けさせて心が痛まない訳がない。
獣医さんから術後に見せて貰ったモンティーの大事な体の一部を持ち帰り、小さな巾着に“それ“を保管してある。
いつか必ずやってくるモンティーとのお別れの日。
その時に巾着を添えて葬儀をするつもりで……
いつかまた完全な姿で転生する事を願って……

