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「モンティーただいまー」
沢山の買い物袋を肩から下げて帰って来た私を迎えたのは人間になったままのモンティーだった。
「ミッションを無事に遂行しました」敬礼しながら報告する。
「あー。もう飲んでるのか?」
「いつも飲んでる訳じゃありません」
見た目が変わった事を褒めて貰いたかったのに……冷たい一言にぷーと膨れ顔になる。
「おぉーやれば出来んじゃねーか、上出来、上出来」
ニヤリと笑って褒め言葉とも取れる発言をするモンティー
もうちょっと素直に褒めて貰いたかったけど良しとしますよ。
「髪を切って、メイクを変えただけで表情が明るくなったな。
負のオーラが消えてるし……」
自分でも不思議になるくらい心が軽くて“ふわふわ”と浮き足立っている感じがする。
女性が外面に磨きを掛ける行為は何も男性の関心を自分に向けさせる為だけにするのではないと初めて気が付いた。
自分の違う一面を発見して自身が楽しむ為のお洒落が存在する事が分かったからだ。
「モンティーありがとー」
モンティーが人間の姿になって現れた時は神様が可哀想な私の恋の相手として遣わして下さったのかと一瞬思ったけど……
モンティーの気持ちはどうあれ私にとっては1年前から家族も同然。
息子であり、今は私の先生だ。
マイフェアレディーのプロフェッサー・ヒギンズみたいに……
プロフェッサー・モンティーもカッコイイじゃない?