「『ヤングでもない。

ミセスでもない。

制服だからキャリアっぽいスーツも必要ない。

もちろんセレブじゃないから家賃並みに高額なブランドの服が買える訳がない。

私にぴったりな服はどこに売ってるの?

ねえ。モンティ?』って訊いたよな」

言ったような気もするが、酔いながら話した事をすべて覚えている訳じゃない。

「おまえの服だったら……

“負け犬コーナー”とか“おひとりさまコーナー”とかだろ?」

「あ…ある訳ないでしょ、そんなコーナー。

あっても堂々と買いに行ける訳ないじゃない……もうー」

ふん。鼻息だって荒くなるわよ。

忍者のようにあちこちに隠れながら“おひとりさまコーナー”を目指す自分を想像して益々惨めな気分になった。

「まぁー入るまでは勇気がいるが、

でもそこにはおまえにぴったりの服が置いてあるぞ!

店員に付き纏われないし、

似合わない服を『良くお似合いです』愛想笑いで言われることもない。

ハハッ冗談はさておき……

『手ごろな値段で着てみたけど勇気が出せなかった』

そんな感じの店1軒ぐらいあるだろ?

『こんなコーデしてみたい』手本にしたい店員を見つけて

そいつが着ている服を褒めろ。

『センスがないから服選びを手伝って欲しい』そう言って似合う服を揃えてもらえよ。

褒められて悪い気はしないだろうから一生懸命おまえに似合う服探してくれるぞ」

ニヤリと笑ってのアドバイス……

どこまでも弄ばれてる感満載の私は思わずため息を漏らす。