愛しのモンティー


仕方なしにシュシュを外してたその途端……

誰かが窓を開けたらしく私の背後から突風が舞い込む。

案の定、強風は私の長い髪を後ろから巻き上げて顔全体を覆い尽くしてしまった。

「きゃあああーーーこわーい」

「うそーー貞子じゃん」

「あはは……呪われるかもー」

『ちっとも怖がってない癖に、人を“おもちゃ”にしないで……』

眉間に皺を寄せ顔で視線を鏡に向けたら、映り込んだ自分の姿に凍り付いた。

偶然着ていたのは白のタンクトップ。

その効果が功を奏してか?

「あっ…貞子」

確かに自分でもそう思ったからだ。

更衣室の件だけなら「ちょっとした悪戯」

ムッとはしても、ここまで落ち込むこともなかったのに……

誰かがスマホで撮影していたらしく貞子の写真(私だけど)はあっという間に社内に拡散することになる。