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僕はいまも、あれからずっと、首を振っていた。いまから家に帰るなんて恥ずかしくて死んでしまう。だが、行く当てもなかった。
「親御さんも心配するだろう。そこに公衆電話がある。あれで家に電話してみようか。」
貴方はそういって受話器を手にとって、ダイアルに手を伸ばした。が僕は止めた。
「家ならわかる。電話なんてしなくていいよ。」
そういって、丘へ向かってボツボツと歩き出した。
しばらく貴方は何かいいたげだったが、そのうち貴方は僕と逆の方向へ歩き出した。