「家に泊めるぅ?!」
イノタニは驚いて飛び上がった。物理的に飛び上がった。
「一時は犯罪者だぞ?!こいつ!!」
僕を指差して言う。あながち間違いではないが...。
「ですが、家を聞いても答えませんし。かといって表で寝かせておいたらお化けに魂でも抜かれてしまいますよ。」
師匠は冗談混じりで答える。すると、イノタニは僕の首を持って揺すった。
「家は何処だよ?!家!!家言え!!!」
「乱暴はいけませんよ。」
イノタニは師匠の言葉で、首を揺するのはやめたが首をもったままで反論する。
「こいつがどんな奴かも解らないし、なにより元加害者だから安心はできねえ!!!!」
師匠は薄ら笑いながら答える。
「ですが、武器のない彼は無防備そのものです。なんなら柱にくくりつけたって私は構いませんよ。」
それは困る。それでは捕らえられた悪党のようじゃないか。
「じゃあ警察にでもつきだしゃなんとかなるだろうが。」
「そ、それは困るよイノタニおじさん...。」
「困るのはこっちの方だろうが!!!反省しろよ。」
イノタニは僕を軽く小突く。
「そうです。十分に反省しましょうね。」
やはり師匠は薄ら笑みを浮かべながら、グランドピアノのような落ち着いた声で言った。
「はい..。」
僕が落ち込むと、イノタニは吹き出す。
「いつのまにか丸まったな!!」


....そんなこんなで結局僕は師匠のお家にお邪魔させていただくこととなった。