全力で逃げたい男





「そろそろ離して」




「あ、ああ、ごめん。」




私がそう言うと、やつはすぐさま離した。




どさくさまぎれになに、抱きついてんだか…。




………まぁ、でも。

ちょっとくらい、コイツのことを信用してやってもいいかな….。




「吉原」




「はいっ!なんでしょう?」




「驚きついでに私の話聞いてくれる?」



「はい!喜んで….。…って、ええ!?」



「ちょっと、いちいち驚かないでよ」



今日一日でどんだけ驚いてんの? この人。



「でも…琉乃ちゃん。話って…..」



「ちょっとした昔の話だけど…。


聞いてくれる?」