全力で逃げたい男




「おい、てめぇ。なに琉乃ちゃんに手ぇだそうとしてんだよ」




相手の目を鋭く睨みながら、それでも笑顔で相手の襟を掴む吉原。




笑顔が逆に怖いっ...!




「......」




相手は完全に怯えきって何も言えないようだった。



「ああ?なにか言ってみろ」



「......」



「なにか言えって言ってんだよ!!


これ以上琉乃ちゃんに近づいたら、殺す」




アイツはそう言って相手のことを乱暴に離して、私の手を取って廊下に出た。



しばらく歩いて、下駄箱に差し掛かったときに




急にアイツが立ち止まった。




手を握られてる私も自然と止まる。