ウサギとカメの物語 2



今思い出しても腹が立つ。
熊谷課長の裏の顔。
私は表のイケメンの部分しか見えてなくて、裏のとんでもない遊び人だという一面に気づかずに食事だけのデートを数回してしまった。
それももう、今となってはすっかり過去の話になったんだけど。


色々と思い出していると、顔のすぐ横でカメ男が大きなあくびをして「もう寝たい」と言い出してきた。


私としてはこの寝る前のまったりした静かな時間に話すのが大好きなんだけど、ヤツはベッドに横になると10秒もあれば寝られるタイプらしくて。
今はとにもかくにも眠いらしい。


「あっそ。どうぞお眠り下さい」


と私がふて腐れたように言うと、カメ男の空いている手が頬に伸びてきて、そのままフッと触れるようなキスを落とされた。


「おやすみ」

「…………………………おやすみ〜」


この男は気づいていないんだろうな。
私がこんなにドキドキしちゃって、なんならキュンとしちゃってること。


これをやってるのが絶世のイケメンって訳でもないのに、ほんと不思議なんだけどさ。


でも、そんなことを意識しないで私だけにしてくれる人。


私の大切な大切な、大好きな人なんだよね……。


次の瞬間、すぐに眠りに落ちたヤツの寝顔と規則正しい呼吸をそばに感じながら、私もゆっくり目を閉じた。






あー、幸せ。
一生この幸せの中で生きていきたいなぁ。


なんちゃってね。