時刻にして12時過ぎ。
カメ男が私のアパートに到着した。
何度か乗っただけのシルバーの車。
後部座席に荷物を放り込んで、助手席に乗り込む。
運転席に座るカメ男の表情が少し申し訳なさそうなものになっていて、あまり表情の変化が無いヤツにしてはだいぶ分かりやすい反省具合だった。
「ごめん、遅くなって」
「いいけど……。何かあったの?」
「何も」
こう言っちゃなんだけどカメ男は私よりしっかりしてるので、こういった遅刻みたいなことは珍しかった。
どこかで待ち合わせしても、たいてい遅れるのは私の方だったし。
理由も無く遅れるなんておかしいと思ったけれど、どうせ寝坊だろうと勝手に思い込むことにした。
「高速乗る前にコンビニ行ってほしいんだよね。あと、お腹空かない?お昼ご飯も買ってっちゃおうよ」
もうお昼時ということもあったので、コンビニで簡単なものを買えばいいと提案したつもりが。
ヤツは車を走らせながら、
「昼飯は梢だけ食べて。俺は食べてきたから」
と言うのだった。
「え、食べてきたの?」
「うん」
「な~んか隠してない?」
「何も無いよ。あ、旅館の住所教えて。買い物してる間にナビに入れとくから」
カメ男がいつもとちょっと違うような。
怪しいな~。
何があったんだろう?
そう思いながら、言われた通りに住所が画面に表示された携帯をそのままヤツに渡して、途中で寄ってくれたコンビニに1人降り立った。
「飲み物くらいは買ってくるよ。何がいい?」
「ポカリ」
「はーい」
この時、私はヤツの異変に気づくべきだったんだ。



