いそいそ携帯をいじる私の様子を見て、優くんが「いいなぁ~」と頬杖をつく。
「俺、夏休みなーんも予定無いや~」
「あれ?好きな子出来たんじゃないの?」
「介護士の子ね!休みが合わなくてデートすらしてないんだ~」
普通に話している彼らの会話の内容がちょっと気になってしまって、思わず顔を上げる。
優くんに好きな子が出来た?
知らない!知らないぞ~!
「え?優くんいつの間に好きな子出来たのよ?相手は男?女?」
「今度は女の子だよー!」
ニッコリ笑顔で答える彼は、なんだかとても楽しそうで。
恋をしてる時って誰でもこういう顔になるよね、きっと。
優くんほどの素敵な見た目と明るい性格ならば、苦労せずに彼女を作れると思うんだけど。
「先週末もご飯に誘ったけど、友達の結婚式に呼ばれてるからって断られちゃって」
やや寂しげにつぶやいた優くんの横で、奈々が「そういえば!」とつぶやく。
「小巻ちゃんから式の招待状来た?」
「あ、来た来た!」
「うん、俺もー!」
私と優くんが同時にうなずく。
4月をもって寿退社をした後輩の小巻ちゃん。
1歳年上の彼とめでたく入籍し、10月に結婚式を挙げるのだ。
事務課のみんなと藤代部長が招待されていて、部長は気合を入れて今から祝辞の言葉を書き溜めているらしい。
その招待状がつい一昨日届いたのだった。
「結婚式、久住も呼ばれてるらしいよ!」
「久住?」
奈々の思わぬ情報に、私は目を丸くして聞き返してしまった。
久住という人が誰なのかいまいち分からない優くんは、首をかしげているだけだった。
久住は私たちと同期入社し総務課に配属された女で、古風な風貌と独特のファッションセンスを持ち合わせた面白い女なのだ。
そして、なによりも目を引く巨乳っぷり。
隠しもせずにその形を強調するようなピッタリしたタイトなトップスを着る自慢ぶりだ。
私としては羨ましい限りなんだけど。
そういえば昨日の帰りがけに見かけた時も、胸元がはち切れんばかりのピッチリサイズのテロテロ素材のブラウスに、マーメイドラインのロングスカートを合わせていた。
で、靴は厚底のサンダルっていうね。
そのファッションセンスがちょっと笑えるから面白い。
分厚いメガネもなかなかのミスマッチぶりだ。
でもそんな彼女が何故、小巻ちゃんの結婚式に呼ばれているのか。
同期でもなければ接点もないというのに。
「なんで久住が呼ばれてるの?」
とりあえず、奈々が理由を知っているかは分からないけれど聞いてみる。



