ウサギとカメの物語 2



違うんだよね、須和って。
見た目と中身が。


淡白かと思いきや。
私を求めて抱いてくれる手は想像していたよりも、温かくて、優しくて、そしてとっても熱っぽい。
初めて抱かれた日からそれは変わることが無かった。


とにかく心地よくて、嬉しくて。
どうしようもなく好きだなって思っちゃうんだ。


私の唇を、頬を、首筋を、体を。
彼の唇が、手が、指が触れるたびに「好き」って言ってくれてるみたいで、喜びに満ち溢れる。


だから私は、大きくて広い背中をギュッと強く抱きしめることで応えるのだ。






「今日、奈々に言われたんだ」

「何を?」

「置物とキスするの?って」

「…………………」


狭いシングルベッドに身を寄せ合って、もう眠りにつくかつかないかというところで私が話しかけたもんだから、ヤツは寝ぼけた頭で色々と考えているようだった。


しばらく間を置いたあとに、


「置物って?」


って聞いてくるから笑っちゃう。


そりゃそうよね。
意識してそんな感じだったら世話ないよね。
無意識だからこその、その置物感なんだよね。
私にとってはカメなんだけどな。


どちらかが決めた訳ではないものの、私は毎週末カメ男のアパートに泊まりに来ている。
今日は金曜日の夜で、当たり前のように2人でこの部屋に帰ってきた。


おかげですっかりこの部屋には、私の物が置かれるようになった。
部屋着とか、下着の替えとか、歯ブラシとか、食器とか。