待て待て待て待て!
このまま行くと出入口でカメ男と鉢合わせするぞ!
誰かに何か聞かれた時にいつも答えるみたいに、同期だから2人で飲みに行くとか、そんな適当な言い訳が優くんに通用するのか!?
頭の中でどうしようか思い悩んでいるうちに、あっという間に私と優くんは職員用の出入口に到着し、そして彼に引かれるまま外へ飛び出した。
「………………あ」
頭上からカメ男の声が聞こえて、バッと勢いよく顔を上げる。
出入口のドアを出てすぐのところにカメ男が待っていて、私と優くんが2人で連なって出てきたのを特に驚きもせずに見ていた。
「あ、柊平じゃん!なんだよ、誰かと待ち合わせか?」
やっと私の腕から手を離した優くんが、深い意味はきっと無いであろう質問をカメ男に投げかける。
私は優くんの死角に潜り込んで、必死にカメ男にサインを送った。
首をブンブン振ってみたり、激しい身振り手振りをしてみたり。
とにかく優くんにはうまい具合に隠してくれ!っていう気持ちをとことん込めた。
だがしかし。
カメ男はカメ男。
ヤツが鋭くなるのは、本当にまれなのだということがこの時よく分かった。
やっぱり基本的には鈍感であることには変わりなくて。
「そこにいる大野と待ち合わせ」
と、普通に答えてしまったのだ。
今にして思えば、カメ男はこれまでにも嘘をついたことはない。
真野さんに目撃された時だって私との関係をあっさり認めたし、優くんに色々聞かれた時も本当のことしか話していない。
この関係がバレてどちらかが異動になろうがなるまいが、ヤツにとっては大きな問題ではないのだ、きっと。



