ウサギとカメの物語 2



「え?優くんにバレたの?」


本日のランチはこの間優くんと行きそびれた定食屋にて、豚の生姜焼き定食を食べている。
優くんはついてくることはなく、今日は私と奈々の2人だけでランチをとっていた。


金曜日の出来事を隠すことなく奈々に話すと、彼女はまじまじと私を見つめてきたのだ。


「バレたかどうかは不明。でもやけにカメ……じゃなくて柊平に彼女について聞いてたからさぁ。勘づいてるのかなぁ、って」


定食の小皿に盛られたキュウリの浅漬けをポリポリ言わせながら咀嚼していると、奈々はまるで探偵のように眉間にシワを寄せて考えこんだ。


「そこまでカンがいいとは思えないんだけどなぁ、優くんって」

「だといいんだけど」

「でも逆に須和がライバルなら勝てると思って、コズにものすごいアプローチかけてくるかもよ?」

「も、ものすごいアプローチ……」


思わずゴックン、と喉を鳴らす。


例えば?
今流行りの壁ドン?アゴクイ?
それとも床ドン?
いずれにしてもイケメンの彼がやればどれもこれも胸がキュンとしてしまいそうだ。


「こら!妄想すな!」と奈々に叱られて、そんなに鼻の下が伸びちゃってたかしらと笑ってごまかす。


「あんまりしつこいようなら須和に言って、ガツンと優くんに一言なんか文句でも言ってもらえばいいんだよ。そしたらコズのことも諦めるでしょ~」


サラッと奈々はそんなことを言ってるけれども。


私としては、カメ男がそういうことを優くんに言ってる姿は想像も出来ないし、たぶん言わないと思うんだよね。
ヤツが本気で怒ってるところも見たことないし。
日頃のケンカもだいたい私が一方的に怒ってばかりで、ヤツはちっともビクともしない。