………………めちゃくちゃ怖いんですけど。
気になった、ってなんで?
やっぱり金曜日の夜に急にカメ男が現れたことで、怪しんでるのかな……。


カメ男の方は悠長に、ふーん、といういつもの返事をしていただけだった。


優くんはいつもニコニコしているだけに、時々何を考えているのか読めないことがある。
カメ男だって相当感情を読み取りづらいけれど、ヤツは基本的には穏やかで、時々不機嫌になったとしてもオーラを醸し出してくるからたいていは分かる。
だからなおさら優くんみたいなタイプって1番難しいというか。


その素敵な笑顔の裏に、秘めた本心っていうのがありそうで。


考えすぎだと信じたい。


事務所に入っていく2人を眺めながら、もしかしたら優くんには私たちのことを教えた方がいいかもしれないと思った。


だって、だって、だって。
優くんって、私のこと好きなんだよね?
ラブかライクか分からないままだけど。
万が一ラブだとしたら困るし。


こんなことを考えられるようになったなんて、私ってばなんて罪な女なんだろう。
うっしっし。


ついつい嬉しくなってニヤける顔を必死にひた隠しにしながら、元気よく「おはようございまーす!」と声を出して事務所に入った。