携帯を耳に当てて、ヤツが出るのを待つ。
コール音を聞きながら「お願い!出て~!電話に気づいて~!!」って念じながら。
すると、少し待ってからカメ男の声が聞こえた。
『はい』
「あ、柊平!?飲み会は終わった?」
『うん。ちょうど終わったところ』
「…………あのさぁ。ちょっと……助けてほしいんだけど」
本当に飲んでたのかと思うほど冷静に話すカメ男と、酔い潰れてグースカ寝ている優くんを比較するとだいぶ差があるな。
ヤツはザルだからな、お酒に関しては。
飲む前と飲んだあとでどこも違わない。
そんなことを考えていたら、不審そうにカメ男に尋ねられた。
『終電逃した……とかじゃないよね。まだ時間もあるし。何があったの?』
「来てみれば分かる」
『……………………どこに行けばいい?』
さすがカメ男。
話が分かる男だ。
ありがたや~!という気持ちで「ホテル前のペデストリアンデッキの通路」って伝えたら、今から向かうからと電話を切られた。
さて、どうしたもんか……。
バスターミナルを見下ろしながら、横目で優くんを見やる。
その彼の形のいい唇から、「こずえぇ~」って名前が寝言で出てきてるから困る。
ちょっとちょっと~。
これってほんとにそうなの?
優くんって私のこと好きなの?
こんなイケメンが私のこと、相手にするのか?
今までイケメンを好きになったことはあっても、好かれたことなんて無い。
ましてや私にはカメ男がいるんだから、なびくつもりも無いんだけど。
でも、でも、でも、でも。
あらあらどうしましょうね、うっしっし。
イケメンに好かれて悪い気はしないよね、誰だってさ。
脳内のリトル梢が「あんたすごいよ!それだけ魅力的ってことだよ!」って褒めたたえてくれた。
ありがとう!
ほんのちょっと自信になった!
ミーハー心が蘇って、ちょっぴりニヤけてしまった。



