ことあるごとに奈々にカメ男についてよく聞かれることがある。
彼女からしてみれば、須和柊平という男がどんな性格でどんな話をするのか、要するにどんな人なのか謎なんだそうな。
「ねぇ、コズのそのマシンガントークに須和はついてきてくれるの?」
今日の質問はコレだった。
モグモグとあんかけ焼きそばを口の中いっぱいに頬張っていた私は、目の前で天津飯をスプーンですくっている奈々に目を向ける。
彼女は私の返事が待ち遠しいらしく、手を止めて期待を込めた目で私を見ていた。
「ついてくるよ。…………正確には、ただ流し聞きされてる感じだけど」
「想像つかないわぁ」
「私の声なんて単なるBGM代わりなんでしょ」
私がカメ男と付き合うようになってから、早3ヶ月。
いまだに奈々は私がヤツと付き合い出したことに納得が行かないようで、時々私たちのことを突っ込んで聞いてくる。
同期のよしみで奈々と田嶋と、私とカメ男の4人で飲みに行く機会が前より増えてきたのもあり、その際、決して楽しそうにキャッキャしながら話すわけでもないし、イチャイチャするわけでもない私たちを不思議に思っているらしいのだ。
というより、人目も気にせずイチャついたり、肩を抱いてニヤニヤしているあんたらと一緒の秤にかけないで欲しいんだけどね。
そういうのは家で2人きりの時にやってちょうだいよ、って思うわけ。
「コズと須和って、ちゃんとキスとかするの?」
という唐突な奈々の質問で、私は焼きそばを一瞬にして喉に詰まらせる。
ゲホゲホ咳き込む私には一切構わず、彼女は悩ましげに眉を寄せて首をかしげていた。
「だってさぁ、あの須和だよ?置物みたいな須和だよ?もう何もかもが未知数じゃん。置物が相手じゃコズも物足りないんじゃないかって心配なんだよねぇ」
「余計なお世話なんですけど」
肝心なことは絶対言うもんかと心に決めて、答えは濁して曖昧にしておいた。



