「思ってた以上にコズたちってドライなんだねぇ~。もし須和がアレなら、優くんに乗り換えたら?気が合いそうだしさぁ」
私がどれだけカメ男に惚れ込んでいるのか、奈々は知らない。
この恥ずかしいほどの想いを奈々に教えたこともなければ、カメ男本人に伝えたこともない。
どんなイケメンが現れようが気の合う人が現れようが、カメ男以外の人と付き合うなんて私にはそんな選択肢は存在しないのだ。
「それは無理だな~」
って、苦笑いしながら曖昧に答えるしかなくて。
でも私が奈々の立場だったら同じことを思っていたかもしれない。
名前ごときでって思う人も多いだろうけど、好きな人に名前で呼んでもらうのってけっこう嬉しくない?
自分の名前が愛しくなったりしない?
私とカメ男は、肝心な時でさえも「大野」と「須和」と呼び合って、ついにここまで来てしまった。
ヤツの名前を呼べる日が来るのだろうか……。
しゅ、しゅ、しゅ、……。
しゅ、しゅ、しゅ、しゅ、……。
柊平、って。
きゃあああああああああああああ!!
呼べない呼べない!
恥ずかしくて呼べないよおおおおおおお!
なんなのこの乙女キャラ!
自分で悲しくなるよおおおおおおお……。
いい加減大人になろう、私。
「コズ~。大丈夫?」
少し遠いところで奈々が私を気遣う声が聞こえる。
「大丈夫だよ」と笑顔を振り絞るだけで精一杯だった。



