ウサギとカメの物語 2



そのランチで私はすっかり優くんと打ち解けた。


まぁ、もともと私もおしゃべりだし、彼もおしゃべりだし。
イケメンなんだけど、ちょっとバカっぽいからドキドキも消え去ってしまって。
気の合う男友達みたいな感じだろうか。


「ドSの梢」


と私をひたすら呼ぶので、最終的には無視してやった。









「最高だったわ~、コズと優くんのやり取り」


仕事を終えて、女子更衣室で帰る準備をしている時にそう奈々に言われた。


「性格が似てるよね、2人。めちゃくちゃ楽しそうだったよ。私もあんなに短時間で笑いまくったの久しぶりだったぁ」

「私としてはそんなに笑いを提供した覚えは無いんだけど」


そもそも優くんは私とカメ男の関係を知らないから、限界スレスレのことを普通に聞いてくるから困った。


「梢の彼氏ってどんな奴?」とか、
「梢の彼氏ってイケメンなの?」とか、
「梢の彼氏ってやっぱり明るくておしゃべりなの?」とか。


目の前で黙々とハンバーグ食べてるこいつだよ、と何度も言いそうになっては答えを飲み込むという作業をしなければならず。
それが意外と大変だった。


私は架空の彼氏像を作り上げ、
「私の彼氏は超絶イケメンで、身長も高くて爽やかで、涙もろく情熱的でよくしゃべる明るいスポーツマンタイプの人」
って答えておいた。
まさにヤツと真逆。
そんな人いたら土下座してでも付き合いたいっつーの。


それを聞いて、奈々がまた爆笑していたのは言うまでもない。
ついでに言うなら、もうそのへんからカメ男は呆れた顔を隠すこともなく私に見せていたけれど。