ウサギとカメの物語 2



「ねぇ、柊平~。週末の合コン、一緒に行こうよ~!美人揃いらしいからさ!どうせ彼女いないんでしょ?」


猫なで声のような口調で優くんがカメ男に両手を合わせてお願いしている。
その話の内容は、そういえば午前中にも誘っていた合コンだ。
確か、幼稚園の先生たちが来るって言ってたような。


奈々が思いっきり私の顔を覗き込むようにしてガン見してくる。
その顔はニヤついていて、私をからかっているとしか言いようのない顔だった。


くっそ~!
幼稚園の先生だと!?
もう職業がすでにステイタスじゃないかあああ!
こっちなんて運送会社の事務員……。
ダメだっ、地味すぎる!


美人揃いとやらの合コンにカメ男を誘うなんて、優くんも何を考えているのやら。
よっぽど人数が足りてないってことなんだろう。


カメ男は口の中に入っていたご飯をゴックンと飲み込んでから、「行かない」と首を振った。


「彼女いるから」


そうですよねぇ。
目の前にいますもんねぇ。
ほっこり嬉しくなっちゃったりしてる私。
嫌だわ、なんだか恥ずかしいったら。


そこで優くんは、素で驚いたらしく目を丸くしてカメ男に聞き返していた。


「え!?彼女いんの!?うっそ~、意外!」

「うん。だから誘わないで」

「どんな子?やっぱり柊平に似て大人しい子?おっとりしてて、優しさに満ち溢れてる感じ?」

「……………………いや、全然。むしろ真逆」


ドカッとカメ男の足を思いっきりヒールで蹴ってやった。
突然テーブルに突っ伏すように上半身を倒したヤツの頭に、フォークでも突き刺してやろうかと思ったけど殺人未遂になるのでやめておいた。


カメ男に何があったのか理解出来ていない優くんと、笑いをこらえきれなくて吹き出す奈々。
私はわざとらしく優しい微笑みを顔に貼りつけておいた。