熱々のデミグラスソースがかけられたハンバーグを見下ろして、カメ男がボソッと「牛丼がよかった……」とつぶやく。
その言葉を遮るようにイケメンくんがものすごく素敵なスマイルを私と奈々に惜しげもなく向けてきた。
「いや~、須和くんの同期なんだってね!2人とも可愛いね~!」
か、軽っ!!
噂には聞いてたけど、そのままだわ~!
間に受けちゃダメよ、梢!
「門脇奈々でーす!で、こっちはイケメン好きの大野梢!」
奈々も負けず劣らずの綺麗な笑顔をイケメンくんに披露して、勝手に私の紹介までしてくれた。
でも「イケメン好き」とか余計な情報を与えるんじゃない!
「イケメン好きなの?じゃあ俺とかまんまじゃない」
「あはは、そうだね……。目の保養になるよ。芸能人みたいでさぁ」
実際それは本当のことだし。
お世辞とかじゃなくて本音として彼に伝えると、彼は満足そうに猫のような目をして笑う。
常にニコニコしてるなぁ、この人。
「優くんって呼んでね!そっちは、奈々と梢でいい?」
「うん、いいよ~」
奈々はおそらく、このイケメンの優くんを恋愛対象とかではもちろんなく、面白い人と認定して話すことにしたんだと思う。
めちゃくちゃ興味深げに優くんを観察しているみたいだった。
彼は人懐っこいというか、なんというか。
人の懐に入ってくるのが上手い。
話しながらサラッと本音を引き出してくる感じかな。
これが天性のものなのか、わざとそうしているのかは謎だけど。
イケメンゆえにそう思わざるを得ない。
「あのさ、須和くんっていつもこんな感じなの?」
優くんが隣で置物のように黙ってハンバーグをひたすら食べるカメ男を横目に、ちょっと笑いをこらえたような顔で尋ねてきた。
「まぁ、そうだね。基本的にはそんな感じかな」
私が答えると、優くんはパクッとハンバーグをひと切れ口にしてから
「須和くんの下の名前、柊平だったよね。柊平って呼んじゃお」
と当たり前のように言った。
「お好きにどうぞ」
カメ男は一言だけ返事をして、あとは全く興味を持たずにハンバーグを食べることに集中していた。



