「………………は~い」


私は間延びしたような返事をして、ヤツの手を握る。


先程となんら変わりない歩調で歩く私たち。
でもなんだか、私の心はほんの少しあったかくなっていた。


「重い女でもいいの?」

「うん」

「挙動不審でもいいの?」

「うん」

「貧乳でもいいの?」

「………………………………………………うん」


だからその間はなんなのよ、一体。
この巨乳好きめ。


ついでにちょっとだけ気になっていた、ほんの数日前の電話の件も確認してみる。


「この間ブチッて切られた電話の時、何してたの?」

「…………ボルダリング」

「………………」


まぁ、おおかた予想はついてたけど。
須和ってこういう男よね。
でもそれでも好きなんだから私も私。
どうしようもない。


たぶん、ヤツの中で私の存在はボルダリングよりは少し下の位置にいると思うんだけどね。


それでもいいか、とこの時は思った。


この人がどっしり構えてていつどんな時も何も変わらないから、キョロキョロよそ見してちょこまか動く私が戻ってこれるんだから。







そんなこんなで、私とカメ男はうまくやっていってます。
私たち2人の、ありのままの近況報告でした。