ウサギとカメの物語 2



それからその週の間、私は何度も真野さんにカメ男との社内恋愛の件を切り出そうと試みた。


薄々自分でも勘づいていたことだけれど……。


どうでもいいことは考えるより先にパッと口からついて出てくるくせに、肝心の大切な話の時はなかなか話し出せないということが分かってきた。


これってなかなか損な性格だよね。
短大生時代に就職活動で面接が一番苦手だったのを思い出す。
おしゃべりが昔から大好きで、口から産まれてきたんじゃないのかと親にも言われるほどの私。
そのくせ大事なことは言い出せないなんて、情けないったらありゃしない。


藤代部長やら熊谷課長を見ようものなら、「おい、事務課内に恋人がいるらしいな。お前異動だぞ」っていつ言われるだろうとちょっとビクビクしたりして。


小心者の自分が腹立たしい。


だってさ。
カメ男はそうじゃないみたいだけど。
私は単純にカメ男と離れるのが寂しいんだもん。
学生みたいだと思われてもいい。
ヤツはただでさえ言葉も表情も乏しいんだから、せめて安心するためにもそばにいたいと思うのはおかしいのかな。


重いかな……。
重いよねぇ……。
自分でもビックリする。
ここまでカメ男に惚れ込んじゃってる自分に。


そして全くもって冷静なカメ男にイライラする!
もっとこう、少しくらい温度を上げて合わせてくれてもいいじゃないの!
私が100度なら、ヤツはマイナス30度くらいじゃないのか?
そんなの虚しいし、切ない。