ちょっと横になって休む程度のつもりが、私ときたら相当深い眠りについちゃってたみたいで。
慌ただしい足音で目が覚めた。
バタバタと走る足音が止まり、玄関のドアがバタンと大きな音を立てて閉まる。
そしてまた、バタバタと廊下を走る音が聞こえた。
今何時?って部屋の時計を見たら、19時だった。
やっちまった。
バタバタうるさい足音は私のいる寝室がある廊下を通過し、リビングへ。
そして引き返すようにまた廊下を走り、寝室のドアが乱暴に開けられた。
パチッと音がして真っ暗だった部屋の電気がつく。
カメ男が仕事から帰宅したのだ。
ヤツは私がベッドに寝ているのを見て、慌てたように駆け寄ってきた。
「体調は?」
「大丈夫」
「何度も電話したのに出ないから」
「……あ、携帯、リビングかな」
「携帯は携帯してよ」
ホッとしたように肩を落としたカメ男が、ガクッと床に膝をつくのが見えた。
「なんかあったのかと思った」
「心配させてゴメンね」
そうだよね。
帰ってきてみれば電気もついてないし、ご飯の準備だってしてないし、何事かと思うよね。
きっと心配で電話をくれてたんだろうな。