ウサギとカメの物語 2



『病院終わって帰ってきたよ~』

『うどん食べた』

『ビックリすることがあったの』

『胃腸炎じゃなかった』

『なんだと思う?』

『当ててみてもいいよ?』

『でもたぶん、当たんないよ~』

『だって私も予想してなかったもん』

『柊平~』

『お~い、柊平~』

『今日は早く帰ってきて~』

『妊娠しました』



この全部で12件のラインを、仕事を終えたカメ男が読んだらどう思うだろう。
さすがに驚いてくれるよね。
でも大したリアクションはしなそうだな。


ダイニングのイスに腰かけて足をブラブラさせながら、携帯を握りしめる。


喜んでくれるかな。
喜んでくれるかな。
喜んでくれるかな。


私は嬉しいよ。
嬉しくてたまらないよ。


だけどね、カメ男が赤ちゃんを抱っこしてあやしてる姿って想像出来ないんだよねぇ。


そこで急にまた胃の辺りがムカムカしてきて、吐きたいような衝動に駆られた。
つわりだ、これ。
よくドラマとかで女優さんが「うっ!」とか言ってトイレに駆け込む、アレだわ。


まだ吐くのは我慢できそうだったので、ひとまず寝室で横になることにした。


うどんを食べたあとの食器をシンクに置いて、フラフラした足取りで寝室へ入るとそのままベッドに寝転がった。