「おめでとうございます。妊娠してますよ」


えっ?妊娠?


私はしばらく意味が理解出来なくて、ポッカーンと口を開けたまま白髪頭のお医者さんの顔をガン見した。
おじいちゃん先生(推定70歳)は、ヨホホ、と笑って目を細める。


「8週目に入ってますね。心拍も確認出来ましたから、すぐに母子手帳を交付してもらってください。詳しくは看護師から伝えますね。…………あ、産みます……よね?」

「……う!産みます!産みたいです!」


慌ててうなずく私。
でもまだ頭は混乱していた。


ちょっと待てよ、とこれまでの流れを思い出す。




えっと、私は今日、病院に何しに来たんだっけ?

朝起きたら目眩がして、胃の辺りがムカムカして、それでトイレでオエッてなったんだ。

で、カメ男に「胃腸炎じゃないの?」って言われて、仕事を休んで市立病院まで来たんだった。



それから?

内科を受診して、血液検査して尿検査して。
レントゲン……と思ったら、看護師さんに止められて。

あれよあれよと産科に連れていかれて、内診台に上がって股を開いて(ごめんなさいリアルで)、そしておじいちゃん先生に「妊娠」を告げられた。





なんとまぁーーーーーーー!


私、妊娠しちゃったの?