次の打ち合わせまでに決めてくることを教えてもらい、恐ろしいほどのカタログの山を受け取り、なにやらズッシリ重くなった袋を抱えながら式場をあとにした。


「詳しい人数と~、招待状の内容と~、席次表と~、お花と~、あとなんだっけ」

「俺に聞かないでよ」

「なんであんた聞いてないのよ!」


今日の話の内容がほとんど右から左へ流れ出たカメ男は、全くもって役立たずだ。
分かってはいたけど、やる気無し。


結婚式だって自分がやりたいからとかじゃなくて、私が友達の結婚式に呼ばれまくっていてご祝儀貧乏だと嘆いていたのを思い出して、それなら渡したご祝儀を回収した方がいいだろうと思ったんだそうな。


ヤツは本当はフォトウェディングくらいでいいんだと思う。


「その調子だと色々心配だなぁ~」


駐車場までゆっくり歩きながら、私はヤツに文句を続ける。


「式の当日はニコニコにっこり笑顔で写真とか撮られまくるんだよ?新郎のご挨拶的なものだってあるし、ちゃんとしゃべれるの?」

「う~ん……善処する」

「それじゃダメなの!」

「はぁ~、気が重い」

「う~わ、それ言っちゃうの?その言葉一生忘れない」

「はぁ~、面倒くさい」


話しながら、私たちはそっと手を繋いだ。
文句を言い合ってるのに、ちょっと笑いながら。


きっと私たちって、これから先も、ずっとこんな感じなんだろうな。
私がガミガミとヤツに文句を言い、ヤツは呆れながらも話し相手になってくれるんだ。