ウサギとカメの物語 2



「初めまして!お2人の担当をさせて頂きます、梅田と申します」


明るくてよく通る声でそう挨拶しながら、名刺を差し出してきた可愛らしい女性。
明るいグレーのスーツに青いスカーフを巻いて、上品な淡いピンクのリップがよく似合う。
ロングヘアをきっちりまとめている彼女は、タレ目を細くしてにっこり笑顔を浮かべた。


名刺にはウェディングプランナーの文字。


「よろしくお願い致します」と声をかけると、梅田さんは大量の資料やファイルをドンッとテーブルに広げて


「結婚式当日までの打ち合わせの日程や流れを説明させて頂きますね」


と私とカメ男が並んで座る方向へファイルを広げて見せてきた。


とても分かりやすくかつ丁寧に説明をしてくれている梅田さんを前に、カメ男は遠い目をしてあくびを噛み殺している。
なんて退屈そうな顔なんでしょ!


駅から歩いて5分ほどの結婚式場に決めた私とカメ男は、契約してから初めての打ち合わせに訪れていた。
挙式は6月。
ここに決めるまで3つの式場を巡り、希望した日に空きがあったのと、スタッフの対応で1番感じが良かったということでここに決めたのだった。


「お2人にとってこの日が1番素敵な日になるようにお手伝いさせて頂きます!何か少しでも要望や質問があればいつでも受け付けますので、お気軽に申し付けくださいね」

「あ、じゃあ早速……」


私が遠慮がちに梅田さんに挙手して見せると、彼女は「なんでしょうか?」と首をかしげた。


「ド、ドレスって……ひ、ひ、貧乳が着ても大丈夫なんでしょうか……」


ものすごくくだらない質問だっていうのは百も承知なんだけど。
でもこれは私にとってはかなり大事なことで……。
ショボいドレス姿を披露するのだけは嫌だった。


私の隣でカメ男が口元を手でおさえて、笑いそうになるのを隠しているのが見えてイラッとした。