私の名字が「大野梢」から「須和梢」になるまでの1ヶ月間のお話。





この1ヶ月は、私にとって怒涛の忙しさが押し寄せてきた1ヶ月となった。


たぶん、人生で1番忙しかったんじゃないかと思ってる。
本当に本当に忙しすぎて、仕事中にうっかりうたた寝しちゃうことがあるくらい忙しかった。


まず、結婚する旨の報告をお互いの両親にすることになり。
ヤツの実家は市内で、私の実家は市外のけっこう遠いところにある。
仕事が休みの土日を利用して両家に挨拶に行った。


私の両親は、自分で言うのもアレだけどお父さんもお母さんも共にものすごくおしゃべりだ。
ついでに言うなら3歳年の離れた弟もおしゃべりで、おばあちゃんもおしゃべり。
つまりは家族全員がおしゃべりというわけ。


よって、カメ男の訪問は大野家にとっては一大事となり、実家に留まっている弟も同席しての挨拶になった。


矢継ぎ早に質問攻めに遭ったカメ男は、帰りの車の中で生気を奪われたような目で私に掠れた声でつぶやいたのを今でも思い出す。


「梢が全部で5人いた」


それってだいぶ失礼な発言じゃないのかね、カメ男?
あんたはこのマシンガントークが良くて結婚を決断してくれたんじゃないのか!


……と、まぁこんな具合に非常にツッコミどころ満載の一言を残したのだった。


言うまでもなくうちの家族はカメ男との結婚を反対することなんて無くて、むしろ「うちの娘を嫁にもらってくれる殿方が現れるなんて~!ありがたや~!ありがたや~!」ってヤツを崇め称えていた。
お祭り騒ぎってこのことよね。