言いたいことと聞きたいことは山ほどあったんだけど、カメ男は発言する隙間も与えてくれずに靴を脱いで廊下をスタスタ歩いていってしまった。
いくつかドアをがある廊下の先にはまたひとつドアがあって、そのドアを開くと目の前にリビングが広がった。
入ってすぐ左手にはダイニングキッチンがあり、あららこれまた素敵な対面式のキッチン。
この広さといい、廊下にあったドアの数といい、どう考えてもひとり暮らしの部屋とは思えないんだよね。
なんていうか~、その~……。
まるで…………………………。
2人暮らし用?
それくらいの大きさだと思った。
も、も、も、も、も。
も、も、もしかして。
私の前に立つカメ男の後ろ姿をじっと見つめる。
寝ぐせのついたままのボサボサな髪型をしたヤツの後頭部しか見えないのに、ヤツの顔なんてここからは見えないのに。
私の胸はドキドキしてしまった。
だってだってだって。
同棲しようって言われてるみたいなんだもん。
確認したいけど、質問は受け付けてないって言うし。
どうやって確認しようか。
すると突然、カメ男がくるっと体を回転させてこちらを向いてきた。
ヤツは私の顔を見て、目を細めて少しだけ微笑んだ。
「なにニヤついてんの」
「は!しまった!つい!」
ありゃ~!
あたしったらついつい過度な期待を寄せちゃって、そしてその気持ちが顔に出てたみたい。
指摘されてもなお、怪しげなニヤニヤ笑いはどうしたって止まってくれなかった。



