ウサギとカメの物語 2



真野さん……あの通り優しくておっとりしてる性格だけど、やっぱり仕事は別だよね、きっと。


私たちが付き合ってることを藤代部長とか熊谷課長とか、上司に報告したりして。
いや、さすがにしないかなぁ。
だけど仕事に支障をきたされても困ると思って報告するかなぁ。
しないかなぁ。
するかなぁ。
しないかなぁ。
するかなぁ。
しないかなぁ……。


厄介なのは熊谷課長に知られた時。
どうせ彼のことだから、「ほらな、やっぱり普通同士お似合いだよ」とかイヤミったらしく言ってきそうで、なんか嫌。


もしそうなったら、どこに異動になるんだろう。
去年ヘルプで行った岩沼支店なら電車を乗り換えればすぐ着くからいいけど、もっと遠いところだったら引越しとか考えなきゃダメだよね……。
逆にカメ男が異動になったらどうしよう。
一応ヤツは車を持ってるから、へんぴなところに異動を命じられてもおかしくない。


頭の中ぐーるぐる。


「大野さーん、外線入ってまーす!5番、遠山工務店からでーす」


と、不意に入社4年目の爽やかボーイ神田くんから声をかけられ、私はハッと顔を上げた。


「分かった〜、ありがとう」


返事をしつつ、彼に言われた通りに5番の外線に対応する。


電話で話しながらもどうにもスッキリしない悩みを抱えて、社内恋愛って面倒だなって思った。