全国チェーン店の居酒屋で送別会という名の飲み会を始めた私たちは、やれビールだ・やれおつまみだ・やれキムチ鍋だ、なんて騒いで楽しく飲んでいた。
週末ということもありどのテーブルも宴会をしていて、ワイワイガヤガヤ賑やかだ。
「あ~、須和くーん!寂しいわぁ~!月曜日からもう来ないのねぇ~!私ね、あなたのこと気に入ってたのよ~!そのイマドキじゃない感じが~!」
「おいっ、須和!あんたいつまでそんなんでいる気なのさ!コズが寂しがってんでしょうが!同棲しちまえっ!須和っ!」
「柊平~!ごめんなぁ~俺のせいで!でも愛里ちゃんのことは恨まないでくれぇ~!恨むなら俺を恨め~!」
ここに酔っ払いが3人。
順に、真野さん、奈々、優くん。
彼らの主張はてんでばらばらで、次から次へとカメ男に数え切れないほどの言葉が降ってかかる。
ヤツは聞いてるのか聞いてないのか分からないけど、ビールを飲みながらひたすら相槌を打っていた。
私はというと、付き合ってるからといってヤツと隣になるのは嫌だったので、遠い席から酔っ払いに絡まれる様子を見て楽しんでいた。
会社全体の飲み会と違って、気を使う相手もいない。
お酌をしにいかなくちゃいけない相手もいない。
こんなに素晴らしいことはないのだ。
「大野さん、やっぱり寂しいですか?」
おそるおそる私の隣に座る神田くんから尋ねられる。
童顔で可愛らしい顔立ちの神田くんだけど、そういえば彼の恋愛事情はどうなったのか。
「私は全然平気だよ。それよりさ、美穂ちゃんとはどうなったのよ?」
「え?そ、そ、それは……」
去年、受付の美穂ちゃんに片想いしていた神田くん。
愛しの熊谷課長に振られた美穂ちゃんとのその後をまだ聞いていなかった。



