「そんな余裕ぶっこいてる間に、また年に6回も7回も友達の結婚式呼ばれちゃうんだよ~。ご祝儀ばっか払ってさ。コズもそろそろご祝儀回収しなさいよ」
奈々の厳しくて鋭い言葉がグサグサッと矢のように私を攻撃してくる。
相変わらず容赦ないなぁ。
でも正直に意見を言ってくれる友達は貴重なのでありがたかったりして。
でも、強がりとかじゃなくて、本当に心からこのままでも十分幸せじゃないか、と思うんだ。
だってなにしろ相手はカメ男。
私があんなに「好き」という言葉を連呼しても1個も返してくれなかったような男だ。
そんな厄介な男からプロポーズの言葉を聞く日なんて、どう考えても遠い。
いつまでもプロポーズしてこなかったら、私が30歳になったタイミングで逆プロポーズしてやろう。
もう決めた。
絶対絶対決めた~。
決意も新たに、照り焼きチキンがバンズで挟まれたハンバーガーにかぶりついた。
事務課のメンバーでカメ男の送別会をしようという話になったのは、あまりにも急きょだった。
カメ男の本社勤務最後の日。
ヤツは最終日はほとんど事務所にいなかった。
そんなこと今まで無かったから、思わずどこに行ったの?って探したくなるくらい。
そうしたら、真野さんが教えてくれたのだ。
彼は本社の関係者に最後の挨拶をしに行ってるのよ、って。
そりゃそうだ。
7年半ちょっと、真面目に本社一筋で事務課に在籍していたカメ男。
しかも真野さんが高評価をしているだけあって、上からもまぁまぁ気に入られているらしく。
菓子折りを持って各部署の挨拶回りをしているということだった。
そこで、カメ男の席が空いている状態で優くんが「提案なんだけどさ」と挙手をした。
「今夜、みんなに用事が無ければ柊平の送別会をしませんか?」
その提案に1番に食いついたのは真野さんだった。
「賛成賛成~!事務課だけで飲みに行くなんて、そういえばしたこともなかったし!」
「いいねぇ~!……あ、でもコズと約束してるんじゃないの?」
送別会に乗ったと見せかけて奈々がわざとらしく私にニヤニヤと含んだような笑みを向けてくる。
職場で大っぴらに冷やかすのだけは勘弁してほしい。
「な~んにも、約束なんて」
答えながらやや虚しくなる。
引っ越しの準備で大変だから週末は来ないでね、って拒否られてる身としては寂しいよねぇ。



