優くんって、そういう人だったよね。
そうそう、私に似てるんだった。
勢いに任せて後先考えずに突っ走るタイプ。
だけどまさか、彼の口から私たちの関係を久住にバラされるなんてさすがに思ってもみなかった。
そして余計なことを口走った彼本人は全くもって自覚が無いらしく、むしろ「どうだ!俺の気持ちが伝わっただろ!」って言いたげな顔で久住だけを見つめていた。
久住は非常にゆっくりとした動きで私とカメ男を交互に見比べたあと、フフッと微笑んだ。
そしてバッグからメモ用紙とペンを取り出して、おそらく携帯の番号と思われる数字とアドレスを書き込み、そのメモを優くんに渡した。
「これで成立ね!よろしくお願い致します!」
チラッと見えたメモの端に「久住愛里」という名前が書いてあった。
初めて知った久住の下の名前の可愛さにビックリしちゃったことは内緒だ。
そのメモを受け取った優くんはハッピーオーラ全開でガッツポーズを作り、
「やったぁ!マジで嬉しい!絶対幸せにします!大切にします!」
と、もはや本当にプロポーズしたんじゃないかっていうくらいの甘々なセリフを公衆の面前で公言していた。
久住は優くんへ向けていた微笑みを、そのまま今度は私とカメ男へスライドさせてきた。
ハッキリとした口調で、だけど何故かこの時だけはいつものような語気を強める話し方ではなく、落ち着いた声で
「須和くん。大野さん」
と私たちの名前を呼んだ。
「あなたたち、付き合っているのね?」
彼女の言葉に対して、うなずかなくても認めなくても、もう今となっては否定出来るはずもなくて。
何よりもウソをつくことのないカメ男がうまい言い訳を思いつくわけもなく。
「うん、そう」
とカメ男が答えるまで、私はうつむいたままだった。



