ところが。
予想に反して優くんは急に拍手をした。
それも、恐ろしいほどの尊敬の眼差しを久住に向けながら。
え?どこ?
どこに感動するところがあった?
私にはさっぱり分からない。
なにが起こったのかよく…………。
混乱する私の斜め向かいで、優くんは拍手をしながら「素晴らしい!」と目を輝かせた。
「久住さん!凄い!やっぱり思った通りの人だ!もちろんだ!必ず結婚する!だからぜひ付き合って欲しい!」
「ちょ、ちょ、ちょっと待って!」
私は慌てて優くんを止めに入る。
あまりの急展開に頭が追いつかない。
「今日は連絡先交換するだけって話だったじゃない!いいの?全部すっ飛ばしてプロポーズしたようなもんだよ?優くん、それでいいの?」
なんだこれは!
なんだこの展開は!
付き合うってそんな簡単なこと?
結婚ってそんな簡単なこと?
「大野さん!」
慌てている私を静めるように久住が名前を呼ぶ。
彼女がかけているちょっと時代遅れなメガネがキラリと光った(ような気がした)。
「あなたもしかして……高槻さんのこと、好きなんじゃないの?」
久住はそう言って、ニヤリと笑った。
うわーーーーーお。
違うし、ちょっと勝ち誇ってるし。
なんでだか、微妙に悔しいんですけど。
イケメンに好かれて優越感を感じてるんだな!
「違う!」って否定する前に、ガタッと優くんが先に立ち上がった。
「久住さん!違うよ!梢はこっちの柊平と付き合ってるんだから!俺たちにはなんの障害も無い!だから大丈夫!」
優くんが口走った言葉を理解するまでにしばしの時間を要した。
私は口をポカンと開け、カメ男はコーヒーを口に含んだまま一時停止し、久住でさえも少し悩ましげに眉を寄せた。



