披露宴会場に移ったあと、優くんと隣になった奈々が彼に問い詰めているのが聞こえた。
「久住のどこがいいの?顔?胸?メガネ?」
「全部」
「あいつめちゃくちゃ声でっかいよ?会話とか筒抜けだよ?」
「望むところだ!」
「惚れっぽいって言われない?」
「まぁ、それなりに言われる」
何を言われてもめげずに返事する優くんが、だんだん健気にも見えてくるから不思議だ。
久住は私たちとはテーブルが離れており、カメ男や事務課の神田くんや藤代部長と同じテーブルになっていた。
そんな彼女を、優くんってばほんのり頬を赤くしながら見つめているのだ。
誰かを好きになるワンシーンを見ることが出来てちょっとドキドキしちゃったけど、まさかそれが優くんと久住だとは……。
なんだかすごい瞬間を見てしまったような。
居酒屋で飲む時のように豪快には飲めないので、なるべくおしとやかにビールを口に運んだ。
「若い子っていいわねぇ~。楽しそうね~」
優くんたちのやり取りを見て、真野さんが呑気に羨ましそうな表情を浮かべていた。
「くそっ、いいなぁ……柊平。久住さんと席が隣で」
無駄に悔しがる優くんの視線の向こうにいる久住が、なにやら声を張り上げてカメ男や神田くんに話しかけている姿が見える。
彼らは久住の勢いと声量に圧倒され、会話しているよういうよりもコクコクうなずいてるだけのような気がした。
美味しい料理と美味しいお酒と、そして時々久住の話。
主役の小巻ちゃんを差し置いて、私たちのテーブルは優くんの一目惚れで話に花が咲いてしまった。



