ウサギとカメの物語 2



「じゃあ、投げますよ~!3、2、1……」


式場スタッフの合図で、小巻ちゃんが階段の中段ほどの場所から後ろ向きでブーケをポーンと飛ばした。
ワッと女子の甲高い歓声が上がる。


彼女が投げた真っ白いお花が集まった綺麗なブーケは宙を舞い、私のすぐそばまで飛んできた。


うわーーーーーっ、来た!
どうしよう!どうしよう!
取ろうか!?取っちゃおうか!?
手を伸ばせば取れるかな!?


一瞬、その時だけスローモーションのように感じた。


背伸びして、手を伸ばそうとした時。
きっと奈々も私と同じことを考えていたみたいで、手を伸ばしかけていた。


その前に立ちはだかる優くんが、両手を大きく広げる。


でもそんな私たち3人の前に、驚くほどに素早く現れた人物がいた。
その人は目を見張るほどの身体能力で高くジャンプし、体を逸らしながらブーケをキャッチしてそのまま後ろに倒れ込む。


とっさに優くんがその人を抱きとめたのが見えた。


私と奈々の足元に倒れてきた優くんが抱きとめていたのは………………。





まさかの、久住だった。





彼女はブーケをギュッと抱いて離さず、倒れたあとにすぐさまムクッと起き上がると優くんを見下ろした。


「ちょうどいいところにいてくれたわ!どうもありがとう!」


威勢のいい久住の声は、ざわつく会場の中でも一際目立っていて。
優くんは目を見開いたまま


「あ………………、はい…………」


と、それだけ返事をしていた。