「ねぇ!大野さん!?そのピアスはどこで買ったの!?」


急に視線を私の耳元に向けて問い詰めるように聞いてくる久住に、私は突っ込む間もなく


「ちょ、ちょっとあとで教える!もう挙式始まっちゃうから!」


と止めておいた。


「どこのお店の!?」

「久住~!静かに~!!」


私と久住が言い合っている間に、挙式が始まった。
「しーっ」と人差し指を口元に当てて、カメ男が私たちに静まるよう無言の指摘をしてくる。
慌てて口を閉じた。


挙式が始まり新郎の将太くんが入場して来たと同時に久住が私とカメ男を押しのけて、どこから取り出したんだというほどの大きな本格的なカメラを構え出した。


プロのカメラマンじゃないんだからっ!
いちいちツッコミどころが満載なんだよ、久住という女は。


彼女は身を乗り出して、その大きなカメラで挙式の一部始終を取り続けた。
小巻ちゃんが入場してからは連射モードに切り替えたのか、シャッター音が忙しく聞こえてくる。


途中から私とカメ男は席を移動し、久住がより写真を撮りやすい位置に送り出してやった。


「……なんで久住が呼ばれてるんだろうね。カメラマンとして呼ばれてるのかな」


ボソッとつぶやいたカメ男の言葉が面白すぎて、いけないと思いながらも吹き出してしまった。