‐客観視‐

「朱音様!」

倒れた少女を見つけたのは、少女を慕い陰ながら彼女を見守ってきた男。

いつ爆発するかもわからない、そんな危険な場所に単身乗り込んできた男が長い長い通路の先でようやく見つけた少女は、彼の声になんの反応も見せない。

なんの迷いもなく血まみれの少女を抱き上げた男は、来た道を全速力で駆け抜ける。

何も考えることなどできなかった。ただ、この長い通路から出ること以外のことは。

遠くの背後から爆発音が聞こえる。その音に震撼した男は、目の前に広がる光に飛び込むようにして通路を飛び出す。

その刹那、男の頭の上を灼熱の風が吹き抜けて、直後黒い煙が吹き出した。

「平出!!」

「おいっ大丈夫か!!」

男の仲間たちが駆け寄ってくる。

助かったのだと男はようやく安堵して、腕に抱いた少女に視線を落とす。

すぐに気がついた。少女が、息をしていないことに。