「せんぱい、あっくんって呼んじゃだめ…?
呼びたい、です」
甘えた可愛い声。
けど、これを許すとばかにされる。
たぶん、本当に呼びたいんじゃなくて甘えてるだけなんだと思う。
「だーめ」
「けちー」
つぐは口を尖らせる。
俺は、つぐの頭を撫でてその場を離れようとした。
が。
ぎゅっ。
服の裾を掴まれる。
「…、ま、まだ行っちゃや。
まだ…、足りない。明輝せんぱい、足りない…
も、もうちょっと、ちゅう、してほしい、です…」
真っ赤な耳。
少し震えた手。
下を向いてるせいで見えないが、きっと顔も真っ赤だろう。


