「いやー、助かったよ。ありがとう」 もらった紙に書かれた連絡先を眺めていると先ほどベンチの後ろに身を隠した男の人が笑顔で現れる。 よく見ると彼も制服を着ているので生徒であり、そして容姿がずば抜けていい。 長すぎず短すぎず無造作にセットされた青みがかった黒髪。 整った顔立ちで笑う姿は少年のようにあどけない。 「て、よく見たらあの篠原紗久じゃん。どーも。俺、灰ヶ峰 翼。高等部2年だ」 男の人元いい、灰ヶ峰 翼と名乗った男子生徒が私に太陽の如く微笑む。