ベンチに並んで座って、いちごホイップのクレープを食べる。
こんな幸せなことが起こるなんて想像してなかった…!
「朝比奈先輩、クレープ好きなんですか!?」
「…だったら何」
「意外です…!」
「うっせ」
チョコバナナのクレープを食べる朝比奈先輩が、可愛い。
私を誘ってくれたのが、嬉しい。
クレープが好きっていう、意外な一面を知れて、幸せ。
「誘ってくれてありがとうございます」
「ん、付き合わせて悪かったな」
食べ終わって、立ち上がる朝比奈先輩。
…もうちょっとだけ、ここにいたいけど。
そんなわがままを言える理由が、私にはなかった。
彼女、だったら、こういう時にもう少し長くいられるのかな。
朝比奈先輩の背中を追いかけながら、そんなことを考えていた。
初夏の風が、2人の髪を揺らす。
風に揺れる朝比奈先輩の黒い髪は、光に透けて少しだけ茶色くて。
それがすごく、すごく綺麗だと思った。



