「あ、じゃあ私、こっちなので…」 道が二つに分かれるところで、右に曲がる。 たしか、朝比奈先輩は左に曲がるはずだ。 「ん、じゃあな」 そう言って向けられた背中に、きゅっと胸が締め付けた。 振り向いて、くれたらいいのに。 私が振り返るのと、同じように。 背を向けて、歩き出したら 振り返るのはいつも私だけで、朝比奈先輩はこっちを見ない。 それはまるで、私たちの関係みたいで。 「…おかしいな」 さっきまですごく幸せだったのに、 離れたら急に、切なくなる。