もうすぐ夏が来る。 そんな初夏の風が、私たちの髪をそっと揺らした。 このオレンジ色の夕焼けの中で。 隣には大好きな人がいて。 オレンジ色の光を受けて、朝比奈先輩の黒髪が少しだけ茶色く見える。 こんな贅沢すぎる幸せ、味わっていいのかな、なんて。 嫌な顔しつつも、私の歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれる朝比奈先輩に、胸がキュンと音を立てた。 「…朝比奈先輩って、本当に彼女いないんですか?」