「それ、拾ったの私じゃないよ」


「え!?」



違うの?

だって、これは紫乃が門のところで拾って…





「朝比奈先輩に、私が拾ったことにして渡してくれって頼まれたの。


自分が探したのが分かったら、有紗が気を使うからって」



「う、そ…」



「毎日探してくれたんじゃない?

だいたい、門のところに落ちてたなら有紗だって気付くでしょ…」





ぽろ、と私の瞳から溢れた雫に、紫乃が驚いたようにこっちを見る。


もう、だめだ。


好き、本当に好き。


溢れてしまうほどに積もった『好き』は、涙になって零れる。