「今のはー…」
私の方に振り返る朝比奈先輩に、慌てて頷く。
「分かってる!分かってますから!
助けるために言ってくれたんですよね、ありがとうございます!」
今のは違うよって、言われたくなかった。
期待してたみたいで恥ずかしいし、いざ本人の口から聞くのはショックだし。
「え、いや…」
何か続けようとする朝比奈先輩に慌てて背を向ける。
「ありがとうございました!!
かっ、帰りますね…!」
「ちょ、おい…!」
呼び止めようとする朝比奈先輩を振り切って逃げることができた私は、なかなか足が速かったりするのかもしれない。



