「……え?」 好、き…? 彼の口から初めて聞いたその2文字に、自分の耳を疑う。 「っ、もうやだ、行こ!」 藤崎さんたちがバタバタと走って逃げていくのを見て、朝比奈先輩に視線を移す。 いや、たぶん違う。 そういう意味で言ったんじゃない。 朝比奈先輩は優しいから、私を助けるために言ってくれたんだ。 さすがに、それくらいは私でも察することができた。