「うー、ない…」 やっぱり見つからない。 こんな草や木、枝の中、見つかるわけないのかもしれない。 だけどこんなところを毎日探してくれた、朝比奈先輩の優しさに泣きそうになる。 大変だっただろう。 初対面の後輩に、 泣きそうだったからって、それだけの理由で、 こんな場所からネックレスを見つけてくれる。 「っ、痛…」 枝に当たって切れた指から血が滲む。 本当、朝比奈先輩はずるい。 ずるいくらいに、優しい人だ。