「俺のせいで、織花の世界を狭くしたくないんだよ」



「そんなこと…っ」



くしゃっと顔を歪めるのは、涙が溢れるときの癖だ。

もう何回も、見てきた表情。






「大丈夫、織花のことを分かってくれる人は絶対にいる。


織花が近付こうとすれば、相手もちゃんと応えてくれる。


傷付いたらまた、いつだって慰めてやるから…

だから、もっといろんな人と関われ。



俺よりずっと、織花を大切にしてくれる人はきっといるから…」






ポロ、と織花の頬を伝った涙は、太陽の光を反射してキラリと光った。